http://takedanet.com/2011/09/post_8d5d.html
<転載開始>
70年前に日本が大東亜戦争を始めたとき、国民のほとんどは戦争に賛成した。その中でも「真実」を知って賛成した人もいるが、多くの国民は偏った報道によって事実を知らず、戦争に突入したとされている。
当 時、国民に事実を知らせなかったのはNHKや朝日新聞などだったが、「軍部が報道統制を行い、それに屈服した」ということになっている。しかし、この言い 訳も奇妙だ。自らの職業が「事実を伝える」という報道に行ったのなら、「自己都合」、「病気」などを理由にNHKや朝日新聞を去るか、逮捕されても良いか ら真実を報道するかの選択をするべきだっただろう。
し かし、現実はアメリカやイギリスへの敵愾心を煽り、ドイツのヒットラーを神格化して日本は戦争に突入して敗北した。もしかするとすべての事実が国民に知ら されていても、戦争になったかも知れないが、国の指導層が国民に事実を知らせなかったのだから、全責任は国の指導層にあった。
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今、 70年前の暗黒時代と同じようなことが行われている。言論が自由な日本だったが、現在の日本国内の情報統制は激しく、国民はほとんど事実を知らされていな い。その結果、日本は世界の孤児になりつつある。誤報を流し続けているNHKや朝日新聞は誤報による国民の損害を購うことはできない。そしてもともとそん な役割を国民は期待している訳ではない。
地 球温暖化の誤報がその一つである。私は温暖化は良いことだと判断しているが、社会に地球温暖化が危険であると考える人がいても良い。しかし、人を説得する のに「ウソ」を言う必要はない。最近、台風による被害が大きかったので、また「温暖化」が話題になってきたが、次のことを知っている日本人は少ない。
1) 温暖化すると南極の氷は増える、
2) 「ツバル」という珊瑚礁の島はまったく沈んでいない、
3) アルプスやヒマラヤの氷河は歴史的に変化していない、
4) 日本は四方を海で囲まれているので「空気の温暖化」の影響を受けない、
5) もっともCO2を出し、大陸なので大きな被害が想定されるアメリカと中国がCO2削減をやっていない、
6) 京都議定書を守り、実質的にCO2を削減しようとしているのは日本一カ国である。
機 会があって、私がこのことを説明すると驚く人が多い。なぜ、NHKや朝日新聞は誤報を続けたのだろうか? 良心的な人はウソをつかないから、このようなウ ソを良心的についたということはないのは当然だ。良心的ではないとすると、利権、利得などしか考えられない。巨大な報道機関ということを利用して、ウソを 連発するとなると戦前と変わらないように思う。
ま た、温暖化で何が起こるかということについても、最初の「海水面が上がる」がウソとわかると、次々と温暖化の影響を変えてきた。「マラリアが増える」、 「台風が増える」、「農作物が減産する」、「ブロイラーの生産量が減る」・・・一つ、否定されると、また新たな影響を出してくるということが続いた。
NHKや朝日新聞を素朴に信じている人が可哀想だ。なにしろ英語で報道される外電や基礎的データを見ないと真実がわからないようになってしまった。
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世 界の4%しかCO2を出さず、海洋国家で温暖化の影響を受けない日本が、「世界の環境を守ろう!」と叫んで子供のように突き進んでいく姿に世界の人は日本 人に対して奇妙ささえ感じている。世界の政治はまだ「世界の環境」などという段階にはなく、「温暖化を唱えてアジア諸国の発展を押さえ込み、原子力を進め よう」などという作戦があるこはごく当然のことだからだ。
「原 発事故で苦しむ福島の人を助けるのには、除染して被曝を減らして健康を守り、産業の打撃を補償して助けるのが当たり前だが、除染はせず、補償金は出さず、 ただ福島の子供たちの被曝と、全国に放射線を拡げることで「子供を被曝させることによって、痛みを分け合う」というのでは奇妙な民族と思われても仕方が無 い。
私は外国の人が言うことをあまり重視したくはないのだが、戦争に負けて日本が占領されたとき、占領軍司令官だったダグラス・マッカーサーが「日本人の精神年齢は12歳だ」と言ったことを思い出す。こんなことを思い出すだけでイヤだが、仕方が無い。
地球温暖化騒動や最近の大震災と原発事故を見ると、残念ながらこの言葉を思い出す。私たちは民主主義を信じ、事実を直視する大人になることはできないのだろうか? そんなことで次世代の子供を守ることができるのだろうか?
(平成23年9月12日)
武田邦彦
<転載終了>